「直前3年の各事業年度における工事施工金額」の書き方

建設業許可の申請に必要な「様式第三号(直前3年の各事業年度における工事施工金額)」は、過去3年間で「どのくらい工事の実績があったのか」を報告するための重要な書類です。

ここでは、初心者の方が迷いやすい記入のルールや、注意すべきポイントを分かりやすく解説します。

1. 工事の種類と「元請・下請」の分け方

まずは、工事の種類ごとに金額を整理して記入していくのが基本ルールです。以下の手順で分類しましょう。

  • 許可業種とそれ以外を分ける
    すでに許可を受けている業種(土木一式、建築一式、大工など)ごとに分けて記入します。許可を受けていない業種は、すべてまとめて「その他の建設工事の施工金額」の欄に記入します。
  • 細かい内訳業種は記入しない
    「PC(プレストレストコンクリート)」「法面処理」「鋼橋上部」といった内訳業種は記入しません。
  • 「元請」と「下請」を分ける
    工事の種類ごとに、自社が元請工事として受けたか、下請工事として受けたかを分けて記入します。
  • 元請はさらに「公共」と「民間」に分ける
    元請工事については、発注者が官公庁などの「公共」か、一般企業や個人の「民間」かに分けて記入します。

2. 金額記入に関する4つの重要ルール

直近の1年間だけでなく、過去3年分すべての事業年度について記入が必要です。金額を書き込む際は、以下のルールを守りましょう。

  • 完成した工事の金額だけを書く
    ここに記入できるのは「すでに完成した工事(完成工事)」のみです。未完成の工事は含めません。もしその年に完成した工事が1件もない場合は、空欄にせず「0」と記入してください。
  • 損益計算書の金額と必ず一致させる
    一番下に記入する「合計金額」は、決算書(財務諸表)の損益計算書にある「完成工事高」の数値と一致している必要があります。
  • 共同企業体(JV)の完工高について
    JVの完工高は出資比率に応じた金額のみを計上します。出資比率を超える部分を自社の完工高に含めることはできません。
  • 税抜か税込かを統一する
    工事代金の額は、決算書における消費税の扱い(税込・税抜)に合わせて記入し、右上の「税込・税抜・免税」の該当するものに○を付けます。

【※重要】経営事項審査(経審)を受ける方へ

公共工事の入札に参加するために「経審」を受ける場合、消費税の免税事業者以外は「必ず税抜方式」で記入しなければならないという厳格なルールがありますのでご注意ください。

3. 【要注意】工事実績(完工高)に含めてはいけないもの

初心者の方が一番間違えやすいのが「建設工事ではない売上」を工事実績に混ぜてしまうケースです。以下の売上は「兼業売上」や「売却益」となるため、完工高には絶対に含めないでください。

  • 兼業売上になるもの
    剪定、消毒、雪囲い、除雪、草刈り、住宅の建売(※建売は建設請負ではなく販売業になります)
  • 売却益になるもの
    自社で保有している資産の売却
  • 自社物件の建設・改築
    「自社の倉庫を建てた」「兼業で経営している食堂を自分で改装した」などの自社工事は、他者からの請負ではないため完工高に含めることはできません。

💡 万が一、間違えて計上してしまったら?

審査の段階で「これは建設工事(完工高)ではありません」と指摘を受けた場合、工事経歴書はもちろん、税務署に提出済みの決算書(財務諸表)の訂正まで必要になってしまいます。

  • 建設請負工事ではなく「兼業売上」と指摘された場合
    「完成工事高」から「兼業事業売上高」に数値を移して修正します。
  • 建設請負工事ではなく「売却益」と指摘された場合
    「完成工事高」から「その他特別利益」に数値を移して修正します。

このような大きな手間を防ぐためにも、日頃から「建設工事の売上」と「それ以外の売上」を帳簿の段階でしっかりと分けておくことが大切です。

ひまわり行政書士事務所

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